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耐震診断・耐震補強

耐震診断とは昭和56年(1981年)6月1日よりも前に建てられた建物の地震に対する安全性をIs値(構造体の耐震性能を表す指標)等の数値として評価するものです。

(1)耐震診断の種類

1次診断
 柱や壁の”量”から耐震性能を算定する方法で、壁量の多い建物に適した簡易的な診断方法です。
2次診断
 柱や壁の”強度と靭性”を考慮し耐震性能を算定する一般的な方法で、1次診断より精密な診断方法です。
3次診断
 2次診断に”梁の影響”も考慮した算定方法で、3種類の中で最も精密な診断方法です。

(2)耐震診断の進め方

  1. 診断方針の計画
     診断方法の選定、既存図の有無の確認、CAD図作成等の計画を行います。
  2. 現地調査
    [鉄筋コンクリートの場合]
    • 図面の整合性の確認
        既存図と現建物の整合性を確認し、相違がある場合は修正を行います。
    • コンクリート強度の測定
        壁、柱等よりテストピースを採取し、圧縮試験を行い現在のコンクリート圧縮強度を確認します。
    • コンクリート中性化試験
        前項で採取したテストピースを使用し、中性化試験を行います。
    • 外観ひび割れ調査
        建物内部・外部全てのひび割れを目視により調査し、図面、写真により記録を行います。
    • 不同沈下調査
        建物屋上のパラペット等のレベル測定により建物の不同沈下の状況を確認します。
    [鉄骨造の場合]
    • 鋼材種別調査
        鋼材の種別を調査します。
    • 接合部調査
        柱・梁接合部などの形状を調査します。
    • 溶接接合部調査
        超音波探傷法等の形状を調査します。
    • 柱脚部調査
        柱鉄骨のアンカーボルトの状況等を調査します。
  3. 診断計算
      既存図及び、現地調査で得た資料を元にIs値等の算定を行います。
  4. 診断結果の判定
      診断計算で算定されたIs値等から地震による安全性を判定します。
  5. 耐震補強
      耐震診断により算定されたIs値等が基準を下回る場合は、診断結果が基準値以上になるよう耐震補強の実施を行います。
 

耐震診断と耐震促進法について

1.耐震診断の概要

 1995年(平成7年)1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では6400人を超える方が犠牲となり約21万棟の家屋が全半壊しました。また、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、全半壊約8万6千棟と人的被害とともに多くの方が被災しています。 平成になってからの震度7以上については、兵庫県南部地震、新潟県中越沖地震及び東北地方太平洋沖地震、及び熊本地震までの計4回発生しており、どこででも大規模な地震が起こり得ると考えられます。
 
 建設省(現国土交通省)の建築災害調査委員会の報告によれば、建築物の被害の傾向をみると現行の新耐震基準(1981年(昭和56年)施行)以前に建築された建築物に被害が多く見られ、一方、それ(1981年(昭和56年))以降に建築された比較的新しい建築物の被害の程度は軽く、現行の新耐震基準は概ね妥当であると考えられています。このことより、1995年(平成7年)12月に「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が施行され現在の新耐震基準を満たさない建築物について積極的に耐震診断や改修を進めることとされました。
 
 さらに、2005年(平成17年)10月に改正耐震改修促進法、また、2013年(平成25年)11月に再度の改正がなされ耐震診断の義務付け・結果の公表等が盛り込まれました。

2.耐震診断の義務付け・結果の公表

 病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物の
うち大規模なもの等について(下記内容分)、耐震診断の実施とその結果の報告を義務付け、所管行政庁において当該
結果の公表を行う。(報告義務違反の場合には、所有者に罰則規定があります)
  
①要緊急安全確認大規模建築物
イ 不特定多数の者が利用する大規模建築物
       <対象建築物>
・病院、店舗、旅館等
:階数3以上かつ床面積の合計5000㎡以上
・体育館
:階数1以上かつ床面積の合計5000㎡以上
 
ロ 避難確保上特に配慮を要する者が利用する大規模建築物
       <対象建築物>
・老人ホーム
:階数2以上かつ床面積の合計5000㎡以上
・小学校、中学校等
:階数2以上かつ床面積の合計3000㎡以上
・幼稚園、保育所
:階数2以上かつ床面積の合計1500㎡以上
 
ハ 一定量以上の危険物を取り扱う大規模な貯蔵場等
      <対象建築物>
・危険物貯蔵場等
:階数1以上かつ床面積の合計5000㎡以上
  
 
②要安全確認計画記載建築物
イ 緊急輸送道路等の避難路沿道建築物 (都道府県または市町村が避難路を指定)
      <対象建築物>
・倒壊した場合において、全面道路の過半を閉塞する恐れのある建築物(高さ6m以上)
・ただし、地方公共団体が状況に応じて規則で別の定めをすることが可能。
 
ロ 防災拠点建築物 (都道府県が指定)
      <対象建築物>
・庁舎、 病院、避難所となる体育館など。
(避難所として利用する旅館・ホテルについては位置づけが可能)

3.耐震診断から補強工事までのフロー

4.耐震診断及び補強計画に必要な資料

 耐震診断には、調査対象の建物について建築当初の設計図書等が必要です。設計図書等の資料がない場合には、耐震診断の調査方法から検討しなければなりません。
 下記に必要な資料を記載致します。
 
1.耐震診断に必要な資料
下記の①もしくは②のどちらかが必要です。

①建築当初の建築確認申請書(副本)
建築当初から増築がある場合には、増築時の建築確認申請書(副本)も必要となります。

②建築当初の竣工図面
建築当初から増築がある場合には、増築時の竣工図面も必要となります。
竣工図面の内容として構造図(伏図、部材リスト(柱、梁))が必要です。

2.補強設計に必要な資料
下記の①もしくは②のどちらかが必要です。
①建築当初の構造計算書
建築当初から増築がある場合には、増築時の構造計算書も必要となります。


②対象建物の地盤調査報告書
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